忘れられない一本の映画との出会い。「僕とオトウト」

先日、ご利用者様の外出のお付き添いで、偶然一本の映画を観る機会がありました。それが髙木佑透監督の「僕とオトウト」という作品で、たまたま観た映画が、これほどまでに忘れられない一本になるとは思いもしませんでした。あまりに素晴らしい体験だったので、ぜひ皆さんにもシェアさせてください。
この映画は、監督がご自身の弟さんを撮影した、50分ほどのドキュメンタリーです。弟の壮真(そうま)さんには重度の知的障害があり、言葉でのコミュニケーションは簡単ではありません。
「もっと弟を理解したい」という思いからカメラを回し始めた監督。しかし、弟の行動に戸惑い、悩み、自分自身と向き合うことになります。
特に私の胸に突き刺さったのが、壮真さんに対してお父さんが投げかける「死にたいのか?」という問いかけです。綺麗事だけでは済まされない、家族が日々直面する壮絶な現実と愛情が入り混じった、あまりに率直な言葉でした。
しかし、この映画はそうした厳しい現実だけを描いているわけではありません。スクリーンに映し出される二人の間には、言葉を超えたコミュニケーションの形がありました。兄だからこそ向けられる優しい視線、何気ない日常の中にある温かな時間。その一つひとつが胸に迫り、心が温かくなるのを感じました。
「誰かを本当に理解するって、どういうことだろう?」
そんな根源的な問いを、この映画は私たちに投げかけてくれます。
ちなみに、この「僕とオトウト」は2020年に公開された作品で、監督が京都大学の大学院在学中に制作し、国内外の映画祭で高く評価されたそうです。今もオンデマンドなどで鑑賞することができるみたいです。
さらに、この作品は全国の学校や地域コミュニティなどで「自主上映会」という形で、今も大切に上映され続けています。公式サイトなどで開催情報が案内されることもあるようですので、もしお近くで機会があれば、ぜひ大きなスクリーンで鑑賞されることをお勧めします。
感動、という一言では表しきれない、深く、静かな感動を与えてくれる作品です。大切な誰かの顔を思い浮かべながら、ぜひご覧になってみてください。きっと、明日からの景色が少し違って見えるはずです。

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